業務用エアコンのフィルター掃除は、使用環境に応じて週1回〜月1回が目安です。内部の分解洗浄には全国一律の法定周期やメーカー共通の周期はないため、業種ごとの汚れやすさと、臭いや効きの悪さといったサインを見て時期を決めます。
内部の分解洗浄に全国一律の法定周期はありません。一方で、フロン類を使う業務用エアコンには漏えいの点検義務があるため、清掃と点検を分けて計画すると管理の抜けを防げます。
目次
フィルター掃除は週1回から月1回が目安
業務用エアコンのフィルター掃除は、使用環境に応じて週1回〜月1回が目安で、油煙やホコリが多い店舗ほど間隔を短くします。三菱電機の設備用パッケージエアコンの取扱説明書でも、フィルター清掃の頻度を「使用環境にもよりますが1回/週〜月」としています。
フィルター掃除は、安全に取り外せる設置条件なら店舗のスタッフでもできます。高い脚立などが必要な場合は業者に任せ、作業するときは取扱説明書に従って電源を切ってから行います。
油煙やホコリの多い店舗は間隔を短くする
油煙やホコリの多い店舗では、フィルター掃除の間隔を月1回より短くし、週1回を目安に掃除します。飲食店の客席や厨房、人の出入りが多い売場は、フィルターが早く詰まるためです。
東京都健康安全研究センターが食品製造業の4施設を調べた結果では、エアコンを月1回清掃していた施設は、空気中から落ちてくる細菌が少ない状態でした(東京都健康安全研究センターのリーフレット)。油汚れの落とし方は飲食店のエアコンの油汚れの落とし方で解説しています。
自動清掃機能付きでも油煙の多い店舗では手入れが要る
フィルター自動清掃パネルには油煙が出る飲食店などへの設置に向かない製品があり、機能があっても手入れは省けません。
- ダイキンは、自社のフィルター自動清掃パネルについて、油煙のある飲食店や社員食堂などへの設置は不適としています
- 自動清掃機能があっても、内部の熱交換器やドレンパンは洗えません
分解洗浄は何年に一回か
分解洗浄には法律やメーカー共通の決まった年数がないため、業種ごとの汚れやすさと、臭いや効きの悪さといった汚れのサインを見て時期を決めます。油煙や湿気の多い業種ほど間隔を短めに考え、フィルターの汚れ方が早くなったら内部の点検を業者に相談します。
当社の分解洗浄では、送風ファンやドレンパンに加え、熱交換器まで洗浄します。当社の天カセ4方向の標準料金は1台税込22,000円で、重度の汚れや高所、特殊な条件は別途見積もりで、機種ごとの料金は機種別の料金表で公開しています。
業種別の分解洗浄の目安
汚れの原因になる油煙・ホコリ・湿気が多い業種ほど、分解洗浄の間隔は短めに考えます。
| 業種 | 汚れの主な原因 | 時期の考え方 |
|---|---|---|
| 飲食店 | 調理の油煙、湯気 | 汚れが早いため短めの間隔で計画する |
| 美容室・理容室 | 髪の毛やホコリ | フィルターの汚れ方を見て計画する |
| スポーツジム | 湿気、人の出入り | 臭いやカビのサインを見て計画する |
| オフィス・物販店 | 紙粉や衣類のホコリ | 効きの低下などのサインを見て計画する |
業種ごとの施工の進め方は対応施設・業種にまとめています。介護施設やクリニックのように運営を止めにくい施設は、区画ごとに日程を分けて計画します。
年数より先に確認したい汚れのサイン
運転するとカビ臭い、吹き出し口に黒い点がある、効きが悪い、水が垂れるといったサインがあれば、年数に関係なく分解洗浄を検討します。
- 運転を始めた直後に、カビ臭い風や酸っぱい臭いが出る
- 吹き出し口やルーバーに、拭いても戻る黒い点がある
- 設定温度を下げても、以前より冷えにくい
- 室内機から水が垂れる、排水の音がおかしい
吹き出し口の黒い点については、業務用エアコンのカビの原因と掃除できる範囲で見分け方を解説しています。
法律で決まっている点検と清掃の範囲
フロン類を使う業務用エアコンにはフロン排出抑制法による原則3か月に1回以上の簡易点検と出力に応じた定期点検が義務付けられていますが、室内機の分解洗浄の頻度は法律で決まっていません。特定建築物では、空調の排水受けの点検と必要に応じた清掃も管理基準で定められています。
| 決まり | 対象 | 頻度 |
|---|---|---|
| 簡易点検(フロン排出抑制法) | フロン類を使う業務用エアコン(第一種特定製品) | 原則3か月に1回以上 |
| 定期点検(フロン排出抑制法) | 圧縮機の定格出力7.5kW以上50kW未満 | 3年に1回以上 |
| 定期点検(フロン排出抑制法) | 圧縮機の定格出力50kW以上 | 1年に1回以上 |
| 排水受けの点検(建築物衛生法) | 特定建築物の空調設備 | 使用開始時と、その後1か月以内ごとに1回(1か月を超えて使わない期間を除く) |
フロン排出抑制法の簡易点検と定期点検
フロン類を使う業務用エアコンは原則3か月に1回以上の簡易点検の対象で、圧縮機の定格出力7.5kW以上50kW未満は3年に1回以上、50kW以上は1年に1回以上の定期点検も必要です。
簡易点検は、機器の使用者が自ら行うこともできます(環境省「簡易点検の手引き 業務用エアコン編」)。点検の記録と清掃の記録を同じ台帳にまとめておくと、管理の状況を確認しやすくなります。
大きな建物では排水受けの点検も決まっている
建築物衛生法の対象となる特定建築物では、空調の排水受けを使用開始時と、その後1か月以内ごとに1回点検し、汚れや詰まりの状況に応じて清掃することが定められています(1か月を超えて使わない期間は点検の対象外)。
ビルに入るテナントの場合、建物の管理会社が点検を行っていることがあります(東京都「建築物環境衛生管理基準等」)。専有部の室内機の清掃を誰が手配するかは、管理会社や契約内容で確認します。
清掃を先延ばしにすると起きること
清掃を先延ばしにすると、フィルターや熱交換器の目詰まりで冷暖房の効きが落ちて電気代が増え、内部のカビによる臭いやドレンパンの汚れによる水漏れも起きやすくなります。どれも営業中に起きると、来店客やスタッフの快適さに直結します。
清掃の費用は、こうした不具合を防ぐための支出として計画に入れておきます。複数台ある店舗や施設は、台数による割引も含めて年間の予算を組むと進めやすくなります。
目詰まりで効きが落ち電気代が増える
フィルターや熱交換器が詰まると風量と能力が落ち、同じ温度にするためのエネルギーが増えます。
環境省は、定格消費電力の合計が110kWの個別空調で、室内機のフィルター清掃と室外機のフィン洗浄により風量が10%改善した場合、エネルギー使用量が約3%減ると試算しています(環境省「温湿度センサー・コイル・フィルター等の清掃」)。
臭いや水漏れは営業中のトラブルになる
内部のカビは運転のたびに臭いを出し、ドレンパンにたまった汚れは排水を詰まらせて水漏れの原因になります。
当社が施工した横浜市のスポーツジムでは、取り外したドレンパンの溝に黒褐色の粘性汚れがたまり、排水まわりのフロート付近にもぬめり状の汚れが見られました(スポーツジムの天カセ分解洗浄の施工事例)。こうした汚れは外から見えないため、サインが出る前に計画的に洗浄します。
次回の管理に備えて、クリーニング後の引き継ぎと確認点も確認してください。
清掃の効果を記録する際は、清掃前後の電力量の記録方法も確認してください。
よくある質問
- 業務用エアコンの清掃に向いた時期はいつですか?
- 冷房を本格的に使う前の春や、冷房シーズンが終わった秋を候補に、空調を止めても営業への影響が少ない日時を業者と相談してください。夏の前に清掃と試運転を済ませておくと、不具合が見つかったときに修理の時間を確保できます。
- 営業中に清掃を頼めますか?
- 当社では区画を分けて稼働中に作業することもできます。営業への影響を避けたい場合は、閉店後や休業日の作業をおすすめしており、時間帯による割増料金はかかりません。
- 複数台をまとめて頼むと安くなりますか?
- 当社では複数台の場合、台数に応じた割引があります。台数・機種・希望日程をお知らせいただければ、まとめて見積もりをご案内します。
- 室外機も清掃したほうがよいですか?
- 室外機のフィンにホコリや油が付くと熱を逃がしにくくなるため、室内機の分解洗浄に合わせて汚れを確認すると効率的です。当社では室外機クリーニングを1台税込4,400円のオプションで承っています。